「何年か前に作ってもらったシステムがあるんだけど、作った会社ともう連絡が取れない」。都城で一番多い相談は、たぶんこれです。会社がなくなった、担当の人が辞めた、個人に頼んでいて音信不通。理由はいろいろですが、状況はだいたい同じで、動いてはいるけど誰も触れない。

こういうシステムを引き継ぐときに、カラクリオで最初に確認していることを書いておきます。古いシステムの作り直しは、むしろ積極的にやりたい仕事です。

最初に確認する4つ

相談を受けたら、コードを見る前にこの4つを確認します。ここで「引き継げるか」の8割が決まります。

  1. どこで動いているか — レンタルサーバーか、クラウドか、事務所の隅の PC か。そしてその契約は誰の名義で、誰が払っているか
  2. ソースコードは手元にあるか — サーバーの中にしかない、というのもよくあります。サーバーに入れるなら取り出せます
  3. ログイン情報は揃っているか — サーバー、ドメイン、データベース、管理画面。どれか一つでも分からないと、そこが最初の作業になります
  4. データは取り出せるか — システムがどうなっても、データさえ取り出せれば作り直せます。逆にデータが取り出せないと、選択肢が一気に狭まる

仕様書は、あれば助かりますが、なくてもどうにかなります。実際、何年も前の仕様書は今の動作と合っていないことが多いので、動いているシステムそのものを仕様書として読みます。

ログイン情報がないとき

ここが一番多いつまずきです。

サーバーやドメインの契約が御社名義なら、契約先に連絡してパスワードを再発行できます。この手続きは契約者本人しかできないので、こちらが代わりにやることはできませんが、何をどこに聞けばいいかは一緒に整理します。

問題は、契約が作った会社の名義になっている場合です。このときはサーバーに入れないだけでなく、先方の支払いが止まった時点でシステムごと消えます。引き継ぎ以前の問題なので、このケースだと「今のシステムが動いているうちに、データだけでも先に外に出す」を最優先にします。画面から CSV を落とせるならそれでもいい。

直して使うか、作り直すか

4つが確認できたら、コードとデータを見て、どちらにするかを決めます。カラクリオでの判断の目安はこうです。

直して使う方がよい場合

  • ソースがあって、手元で動かせる
  • 使っている言語や部品が、まだ保守されている
  • 困っているのが「ここの機能だけ」のように局所的

作り直した方がよい場合

  • ソースがない、あるいはあっても動かせない
  • サポートが終わった言語やフレームワークでできていて、直すたびに別のところが壊れる
  • 業務の方が変わっていて、システムに合わせて人が作業している
  • スマホで使えない、外部サービスとつなげない、など今の使い方に合わない

直して使う場合も、いきなり大きくは触りません。まずはコードを git に入れて、手元で動く環境を作って、バックアップが取れる状態にしてからです。「戻せる」を先に作っておくと、その後の作業が全部楽になります。

作り直すときの進め方

作り直すと決めても、古いシステムは止めません。新しい方ができるまでは今のシステムで業務を回して、できたところから順に移していきます。

データの移行は、古いシステムから取り出したものを新しい方に入れて、両方で同じ数字が出ることを確認してから切り替えます。ここを雑にやると、後で「去年の売上が合わない」が起きます。

新しいシステムの作り方は、前の記事に書いたのと同じです。最初は一覧・入力・検索・出力の4画面だけ。古いシステムにあった機能を全部再現するのではなく、今使っている機能だけを作ります。何年も使っていない画面、意外と多いです。

引き継いだ後に残すもの

同じことが繰り返されないように、引き継ぎが終わった時点でこの状態にします。

  • サーバー・ドメイン・データベースは、すべて御社名義
  • ソースコードは御社の git リポジトリにある
  • ログイン情報の一覧があって、御社のパスワード管理に入っている
  • 「どこで何が動いているか」の図が1枚ある

カラクリオと連絡が取れなくなっても、次の会社がこの記事の4つを確認したときに全部「ある」と答えられる。そういう状態で渡すのが、引き継ぎのゴールだと思っています。

相談の入口

「動いてはいるけど誰も触れない」システムがあれば、上の4つのうち分かる範囲だけで構いませんので、そのまま教えてください。引き継げるか、作り直すべきか、まずはそこから一緒に見ます。

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